文学界にかんする考察

日本社会に、強い潜在的影響を及ぼす文学界について、考察していきます。

タグ:クローズアップ現代

拙ブログ「マダムNの覚書」に1月11日、投稿した記事の再掲です。

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2014年12月10日(水)放送「クローズアップ現代」の「広がる“読書ゼロ”~日本人に何が~」を視聴してから、書きたいように書いた記事――特に冗談を交えて書いた記事――を一般公開することに不安を覚えるようになりました。冗談が通じないかもしれないという不安です。

番組には「1年くらい読んでない」男性、「3年に1冊読めばいい」という女性が出てきて驚かされましたが、日本人の読書量は相当に減っているようです。

読書ゼロの学生も多いようですが、インターネットは利用しているという特徴があるようです。

わたしは最近、本を読む習慣のある友人と読書ゼロに近い友人とでは、意思疎通の度合いに相当な開きが出てきたような気がしています。

友人と話していて、趣味や生活環境が異なっているというだけでは片付けられない、意思疎通の齟齬を覚えることがあり、それがなぜ起こってくるのかが以前はわかりませんでした。

が、話す頻度は高くないに拘わらず、意思疎通が円滑に行く友人との違いをピックアップして原因を探っていったら、意思疎通に齟齬のある友人には読書する習慣がなく、読書ゼロに近いという点に行き着きました。

で、これはわたしの推測の域を出ませんが、その人が自分とは関係のないことに対してはほとんど想像力が働かないために起こってくる意思疎通の齟齬ではないかと。読書の習慣は、このことに大いに関係していそうです。

中年になると、若いころとはまた異なるテーマで友人とあれこれ話したいことが出てくるのですが、相手が推理小説しか読まなかったとしても、ある新興宗教に偏った読書をしていたとしても、読書ゼロに近い友人とよりは話せるのです。全然違います。

互いに、うまく理解できなかったことは聞き返すし、理解して貰えなかったと思えば、言葉を尽くしてわかって貰おうとします。本好きの人は、そうしたことが嫌いではないことが多いということに気づきました。

本を読んでいるとき、内容がわからなくなれば、前のページに戻って読み直したりしますよね。それと同じ態度といえるのではないでしょうか。相手をわかることは悦びであり、相手に自分をわかって貰うことが幸福感につながるのです。

嫌いになったわけではないのに、何か話そうとするたびに制限がかかっているような感じがして、以前にも増して話せなくなった友人とは、心のふれあいができなかったような欲求不満や、いったことを誤解されたような不安が不安が募っていきます。

その人に嫌われたからこうなるのだろうかと思ってしまった日々がありましたが、どうもそうではなく(その人のほうから連絡してくれるので……)、その人の語彙不足や知識不足からこちらの話すことがうまく理解できない、また自分の話したいことをうまく話せない可能性があるのではないかということに思い当たりました。

わたしたちの学生時代は嫌でも本を読まされたので、そのころは本を読む人と読まない人の差がそれほどでもなかった気がします。

しかし、中年になるまで生きているうちに、本を読まない人のほうは読む人に比べて、語彙が乏しくなり、目先の知識しかなくなっている場合があると思います(まるで文盲病に冒されていくかのよう)。

この点では、職業を持っていても、いなくても、関係ない気がします。職業を持っている人にも、専業主婦にも、同じ傾向の人があるからです。

高齢となった親戚の人のなかには、隠居暮らしとなってから図書館通いしている人が珍しくありません。以前は共通の話題を必死で探さねばならなかったのに、今は相手の態度に柔らかみが増したような感じがして、自然に話せるようになったのも、読書効果かと思えるのです。

それにしても、こうも本が読まれなくなったのであれば、わたしの電子書籍など、売れるほうが不自然なくらいかもしれません。

今年に入って、幸い2冊売れましたが、お買い上げいただいたのはいずれも外国のキンドルストアででした。

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 NHK・クローズアップ現代「“薬漬けになりたくない”~向精神薬をのむ子ども~」を観て(1)
  http://blog.livedoor.jp/du105miel-vivre/archives/65672427.html


 以下は、「NHK ONLINE クローズアップ現代」より。

【ゲスト】児童精神科医…石川憲彦,記者…井上登志子,【キャスター】国谷裕子

[引用ここから]……
上半身が揺れ続け、止まらなくなった12歳の子ども。足の先がけいれんし、小刻みに震え続ける高校生。今、多くの子どもが向精神薬の副作用に苦しんでいる。国立精神・神経医療研究センターが行った調査で、発達障害の症状がある子どもに対し、小学校低学年までに向精神薬を処方している専門医が全国で7割にのぼることが明らかになった。重い自閉症やうつ病の症状などに苦しむ人々の効果的な治療薬として使われてきた向精神薬。一方、子どもの脳に及ぼす影響は未解明で、処方する量や種類について明確な安全基準はない。今月3日、薬の深刻な副作用に子どもの頃から苦しんできた人たちが集まり、安易な投薬はやめるよう強く訴えた。処方の基準が曖昧なまま進められてきた子どもへの投薬。その結果もたらされた過酷な現実を伝える。
……[引用ここまで]

 以下は、「togetter」の記事へのリンクです。

  • クローズアップ現代「“薬漬け”になりたくない~向精神薬をのむ子ども~」書き起こし・ほぼ完全版 #nhk」
    http://togetter.com/li/320436

 上のリンク先へご訪問いただければ、番組の全貌がわかります。

 ライン以下には、相当に不完全ですが、わたしが録画した番組を観、残しておきたいと思ってとったメモを公開しています。

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 NHK・クローズアップ現代「“薬漬けになりたくない”~向精神薬をのむ子ども~」を観て(2)
  http://blog.livedoor.jp/du105miel-vivre/archives/65672432.html


 NHK・クローズアップ現代「“薬漬けになりたくない”~向精神薬をのむ子ども~」を観た。

 1~2歳の赤ん坊に眠剤(番組では、睡眠障害を抑える向精神薬といっていた)を処方する医師がいるとは……。

 未成年の薬物開始年齢は、小学校低学年までが7割を超えているそうだ。しかもこれは、子供への治験が難しいことなどから、子供が服用した場合の影響についてはほとんど解明されていず、安全基準がないままというのだから、驚く。

 わたしは夜泣きのひどさで、近所でも有名な赤ん坊だったという。幼稚園のときには、何度も脱走劇を演じ、先生がたの手を焼かせる問題児だった。今生まれていたら、わたしも赤ん坊の頃から薬漬けになっていたのだろうか?

 小学1年生までそんな風であったが、以後は一転して模範生となり、クラス委員に選ばれる常連になった。ところが、中学1年で膀胱神経症になり、高校生のときに精神科のクリニックを自ら受診した。投薬では治らないと悟り(精神医療の助けなしでも何とかなると思い)、スポーツと読書で切り抜けて現在に至っている。

 周囲を騒がせた理由付けは、自分なりにできる。

 赤ん坊のときの夜泣きは、両親が共稼ぎのために子守さんを転々とさせられ(父は船員で不在が普通、母は夜勤・当直のある電話交換手だった)、過度な興奮状態に置かれていたためだと思う。

 幼稚園のときの脱走は、母を求めての脱走だった。小学生になって模範生になったのは、母を絶えず求めなくても、母は――意味もなく――いなくなったりはしないということが実感としてわかるようになったからだった。

 こんな子供らしすぎる子供時代を送る一方では、(過去記事で度々書いてきたように)わたしには神秘主義者としての隠れた認識があったのだから、我ながら不思議だが、むしろそれがあったからこそ、彼の世のすばらしさと灰色のこの世との落差に、戸惑い、ついていけなかったということがあったのかもしれないと思う(ヨガ行者のパラマンサ・ヨガナンダが似たようなことを書いている)。


 何にせよ、この世というところにも慣れ、順調に運んでいた小学校生活だったのだが、事件は起きた。子守さん――その頃はももう家政婦さんと呼ぶべきだろう――の息子2人から性的な悪戯を受けるという、大変不幸な事件が起きたのだった。

 中学時代の神経症の発病の原因が、これにあるかどうかはわからない。

 いずれにしても、わたしは窮地に陥ったところを、医療にではなく、読書に助けられた。

 名作といわれるような昔の児童文学作品には、未成年者が遭遇しがちな多くの問題が採り上げられているのだ。そして、そうした問題を乗り越えた先には、それ以前には想像もつかなかったような未来が開けて来るのだという予感を与えてくれる。どんなカウンセリングよりもすばらしいカウンセリングを、わたしは読書を通して受け続けたと思っている。

 番組を観て、本当に治療が必要な疾患を持つ患者とそうではない者との区別をうまくつけられない精神科医があまりに多いのではないか、という疑問を覚えた。

 薬漬けになるような治療が待つだけだとしたら、早期発見、早期治療にどんな意味があるのだろうか?

 薬の多剤、多量投与の背景には、精神科医と製薬会社の癒着、馴れ合いがありはしないか? 

 学校と医療機関の連携が国の方針で進められるようになった背景には、故河合隼雄の活動があったのではないか? 

 番組からメモをとったので、②で紹介したい。

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