文学界にかんする考察

日本社会に、強い潜在的影響を及ぼす文学界について、考察していきます。

2013年10月

後日:申し訳ありませんが、無料キャンペーンは行わないことにしました


アマゾンのKindleストアで販売中の電子書籍『田中さんちにやってきたペガサス』の無料キャンペーン、題して「秋空をペガサスに乗って」キャンペーンを実施します。

太平洋標準時10月25日、日本時間10月25日午後5時ごろ~26日午後5時の1日限りです。

スフレチーズケーキのように、ふんわり豊かな読後感……大人も子供も楽しめる物語です。ペガサスは、7月以来、3ヶ月ぶりのキャンペーンです。

無料期間中はダウンロード画面で「kindle購入価格  ¥0 」 と表示されます。

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 初の歴史小説を書く計画のため、頭の中が江戸色に染まっているが、娘が面白そうな本を買って読んでいたので、読まずにいられなかった。

 アントニオ・タブッキ『夢のなかの夢』。

 作品の中でタブッキは20人の芸術家に眠りを与え、彼らの代わりに夢を描いてやっている。シュールな夢の特徴をよく捉えている彼は、夢の研究家でもあるに違いない。

 最初に例外的にギリシア神話に出てくるダイダロスを置き、最後に、芸術家で構成された作品にしてはちょっと異色なフロイトの置かれているところが、それを物語っているように思える。

 フロイトに与えた夢は痛烈な内容で、悪夢といってよい。しかも、それを死ぬ前日の最後の夜と決定づけているのだから、タブッキのフロイト批判が嫌でも伝わってくる。

 否、批判というには適さないさりげなさがある。フロイトの心理学の内容を夢に変え、それをそっくり本人に贈っただけというような……。

 作品には、詩人、画家、作家、音楽家が出てくるが、タブッキの凄さは、彼らの諸作品を徹底して読み込んでいるだけでなく、伝記類も丹念に調べ尽くしていることだ。

 だから、夢を読んでいるうちに、こちらもよく知っている芸術家の場合は、写真や絵として残されたその顔が、自然に浮かんでくる。

 わたしも好きな芸術家のことを調べ尽くすほうだから、ここに登場する何人かについて、よくここまで彼らの人生と作品と味わいを余すところなく織り込み、散りばめたものだと感心してしまった。

 芸術家が、美に堪能し、天に憧れ、思索し、深刻に悩み、罪を犯したりしたことごとくを統べる神の代理人のようなタブッキ。

 どんな状況、状態で芸術家が夢から覚めるのか、覚めないままなのか、珠玉のような掌編の最後まで目が離せない。

 そう、目が離せないと書いてしまうほどに、この作品は映像的なのだ。夢がそうであるように。そして、どの一編も夢の軽やかさ、心地よさを持っている。

 作品に登場する芸術家は以下の人々。

 ダイダロス、オウィディウス、アプレイウス、チェッコ・アンジョリエーリ、ヴィヨン、ラブレー、カラヴァッジョ、ゴヤ、コウルリッジ、ジャコモ・レオパルディ、コッローディ、スティーヴンソン、ランボー、チェーホフ、ドビュッシー、ロートレック、フェルナンド・ペソア、マヤコフスキー、ロルカ、フロイト。

 ノーベル文学賞が発表になった夜、娘が訊いた。「ノーベル文学賞って、死んだら貰えないの?」

 貰えないというと、娘はタブッキがノーベル文学賞を貰わずに亡くなったことを悔しがった。わたしも残念だと思った 
ちなみに、タブッキと神智学協会は切れない仲であるようだ。神智学協会本部の登場する『インド夜想曲』を引くまでもなく、その作風からは神智学の薫りがする。日本の文学界は左傾化してしまっており、そうした面は黙殺されてきた。今後、わたしが研究していきたい(他にする人が見当たらないので)。

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『村上春樹と近年のノーベル文学賞作家たち』が「つんどく速報」で紹介されました

  • 「数百年を生きる魔女にしてロリ幼女」「ボイジャー探査機の画像まとめ」熱いコメントが寄せられた作品を一挙ご紹介!(10月9日号)
    http://bookdi.gger.jp/archives/33736945.html

サンプルをダウンロードできます。
     ↓

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 基幹ブログで一部公開している『村上春樹と近年のノーベル文学賞作家たち』。

 アマゾンのキンドルではKDPセレクトに登録できず、無料キャンペーンできないので、パブーでも電子出版したいと思っていますが、以前は作業途中で挫折。

 なるべく多くの人に読んでほしいので、そのうちとは思っていますが。

 以前、出版人から「村上春樹の批判はできない」と聴いたことがあります。義務教育の授業でよく採り上げられたり、過去記事で書いたと思いますが、大学などでも一番授業で採り上げられるのは村上春樹だそうです。

 大学というと、研究機関でもあるわけですから、鋭い批評が多く出てきて当然なのに、何か心酔しきったような論文とか、ゲーム攻略本のような論文、オブラートで包んだような優しい――核心をついているとは思えない――当たり障りのない批評を展開した論文にしかお目にかかれない現実に、前掲の出版人の言葉は本当だったんだなと思ってしまう次第です。

 それを聴いたのは、わたしが賞狙いに邁進していた頃ですから、10~15年ほども昔の話になります。

 科学ではサイエンスのような世界的に有名な科学雑誌が複数あって、そこで評価されるかどうかが一つの基準となっているようですが、文学では日本人研究者の評論能力がどれだけ低下しようと、それを客観的に見せてくれる媒体が存在しません。

 まともな文芸評論家が育たないということは、文化そのものの衰退、日本人の思考能力そのものの衰退に直結する重大な事態なのです。そのことに警鐘を鳴らせるプロの評論家がいない……こんな片隅で細々とアマチュア作家がつぶやいているだけ……。

 そういえば、上の話とは無関係ですが、当時の文藝春秋『文學界』の編集長から、わたしの作風に警告を受けたことがありました。「こがんテーマでは書かんほうがよか~」。

 関東の方だったと思うのですが、なぜか博多弁でいわれたように記憶しています。自分でもわかっていたとはいえ、はっきりといわれたことがショックで、脳内で親しみやすい博多弁に変換してしまったのかもしれません(?)。

 その後、「これからは児童文学に没頭したいと思います」というと、ホッとしたような優しい表情で頷かれました。まあ確かに児童文学には熱中していますが、ブログにこんな風な文章を書き綴っているわたしって? 

「きんどるどうでしょう」で無料キャンペーン情報を流していただき、ダウンロード数が増えたことがありがたく、「つんどく速報」では村上春樹の評論を採り上げていただけないだろうかと思い、自薦してみましたが、読んでいただくことも難しいようです。このところ、これはずっと売れていないので。

 追記:紹介されました


 キンドル情報サイトもマスコミの一角、春樹批判はタブーなのかもしれません。批判の根拠をきちんと示しているので、批評にはなりえていると思っています。わたしに一つだけいえることは、「日本に言論の自由があるなんて、嘘です」。

 サンプルをダウンロードできます。
     ↓

 ※関連記事

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 アメリカの政府機関が一部閉鎖で、大変なことになっている。「アメリカがくしゃみをすれば日本が風邪をひく」といわれるが、最近、風邪気味だったのはそのせいだったのか!

 以下はYouTubeより。

【アメリカ 予算不成立で政府機関が閉鎖のワケ】三橋貴明氏が解説。【2013/10/02】


 実は、1日に「米政府機関の閉鎖始まる」というニュースを見たときに、「え?」と思い、ゾッとして、今日までそのことを意識から追い出してしまっていた。気になるニュースに接したら、すぐにググるはずなのに、どういうわけだろう。

 ようやく調べてみようと思ったわけだが、いろいろと調べてみても、このことでどの程度の心配があるのか、よくわからない。

 アメリカはねじれ議会で、下院は野党の共和党が過半数を占める。オバマ大統領が推進する医療保険制度改革(オバマケア)の成立を阻止したい下院。

 下院は医療保険改革(オバマケア)の本格施行の1年先送りを盛り込んだ暫定予算案を可決したが、上院はこれを否決した。

 ところで、このアメリカの政府機関一部停止問題とは無関係の話なのだが、あれこれ記事を閲覧していくうちに、2ちゃんねるの記事が出てきて、共和党、民主党の各政権下で起きた戦争名がまとめられていた。以下に引用してみる。

<共和党>
1970年 カンボジア侵攻、ラオス侵攻
1983年 グレナダ侵攻
1986年 リビア空爆
1989年 パナマ侵攻
1991年 湾岸戦争
1991年- イラク空爆
2001年- アフガニスタン侵攻
2003年- イラク戦争
 

  <民主党>
1941年- 太平洋戦争
1950年- 朝鮮戦争
1961年 キューバ侵攻・ピッグス湾事件
1961年- ベトナム戦争
1995年 ボスニア・ヘルツェゴビナ空爆
1998年 スーダン空爆・アフガニスタン空爆
1999年 コソボ空爆
  ”

 それを見て、意外だった。

 あれ、そうだったっけ? と思い、自分でも調べてみた。というのも、共和党は戦争屋というイメージがわたしにあったから。

 だが、改めて調べてみると、そうでもない。いや、むしろ、民主党の政権時に大きな戦争が起きている。いやはや、騙されていた気さえする。

 印象操作は、共和党より民主党のほうが遙かに上手らしい。そういえば、日本でも、自民党より民主党のほうがはるかに印象操作が上手だったわね。

 以下はそれぞれウィキペディアより抜粋。

民主党(アメリカ):Wikipedia

民主党の傾向と共和党との差異

軍事・外交政策

アメリカ独立戦争、第二次米英戦争、アメリカ先住民との戦争、アメリカ南北戦争、外国への治安維持部隊の派遣を除いて、民主党政権が外国との戦争を開始した事例は、1846年-1848年の米墨戦争、1914年のメキシコ・タンピコ侵攻、1915年-1934年のハイチ侵攻、1916年-1924年のドミニカ共和国侵攻、1917年-1918年の第一次世界大戦、1918年-1919年のシベリア出兵、1941年-1945年の第二次世界大戦、1950年-1953年の朝鮮戦争、1961年のキューバ侵攻・ピッグス湾事件、1961年-1973年のベトナム戦争、1993年-2000年のイラク空爆、1995年のボスニア・ヘルツェゴビナ空爆、1998年のスーダン空爆、1998年のアフガニスタン空爆、1999年のコソボ空爆であり、第二次世界大戦以後の戦争は1950年-1953年の朝鮮戦争、1993年-2000年のイラク空爆以外は国連安全保障理事会の承認がない武力行使である。
1947年のパレスチナ分割決議、1948年のイスラエル建国を民主党のトルーマン大統領が支援し、1948-1949年の第一次中東戦争とイスラエルの占領地拡大を民主党のトルーマン大統領が黙認し、1967年の第三次中東戦争とイスラエルの占領地拡大を民主党のジョンソン大統領が黙認するなど、民主党の大統領もイスラエルに対する一方偏重政策の実績があるとも言いうる。その反面、1978年にカーター大統領がイスラエルとエジプトの和平を調停し、イスラエルとエジプトの相互承認と平和条約の締結と国交樹立を支援した実績、1994年にクリントン大統領がイスラエルとヨルダンの和平を調停し、イスラエルとヨルダンの相互承認と平和条約の締結と国交樹立を支援した実績もある。

共和党(アメリカ):Wikipedia

民主党は世界各国との国際協調を重視し、対話による外交を推進し、世界各国との利益の共存共栄を追求する考え方・政策であり、軍事支出と軍事力の削減を推進し軍需産業と軍産複合体に反対してきたという認識は、公的機関が公開している客観的で具体的な事実および包括的な歴史的事実に基づいて検証され証明されたものではなく、アメリカの戦争と外交政策、アメリカの軍需経済と軍事政策を検証すると、個別事例を全体化した偏った見方による誤認であり、全体的に該当する事実ではなく、共和党と比較して顕著な傾向は存在しない。

共和党は世界各国との国際協調を軽視し、圧力による外交を推進し、自国の独占的覇権的利益だけを追求する考え方・政策であり、軍事支出と軍事力の拡大を推進し軍需産業と軍産複合体に協力してきたという認識は、公的機関が公開している客観的で具体的な事実および包括的な歴史的事実に基づいて検証され証明されたものではなく、アメリカの戦争と外交政策、アメリカの軍需経済と軍事政策を検証すると、個別事例を全体化した偏った見方による誤認であり、全体的に該当する事実ではなく、民主党と比較して顕著な傾向は存在しない。

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 キンドルで販売中のわたしの評論『村上春樹と近年のノーベル文学賞作家たち』に内容面の変更はないのですが、いろいろと気になるところが出てきたので、第二版を出しました。以下は第二版のあとがきです。

「第二版のあとがき」

 第二版では、誤字脱字の修正、表紙画像とフォントサイズの変更、奥付の作成などを行いました。「あとがき」を書いたときから半年が過ぎ、その間また一つ、村上春樹に関して意識に上ってきた事柄がありました。
 本文で書いているように、村上春樹の人気には色々と引っかかるところがあったのですが、もう一つ、わたしの中で解けない謎があったのです。アメリカで売れているというのもわたしには意外ではあったのですが、言論統制が行われている中国、韓国で大ヒットしている理由となると、もっとわかりませんでした。韓国では軍隊でも大層人気があるようですし、またロシアでも人気があるようです。
 アメリカ、中国、韓国、ロシア。
 その謎が、最近の緊迫した中国、韓国との関係や、それと関係のある慰安婦問題、南京事件について調べる中で、いくらか解けました。言論統制が行われている国でヒットするには、その国の国益にかなっていなければならないはずです。その国々の人々が無邪気に楽しむだけであろうと、国家の戦略的視点は別なのです。
『海辺のカフカ』には第二次大戦中に心的障害を負ったナカタという人物、『ねじまき鳥クロニクル』にはノモンハン事件が出てきたはずだと思い、再読してみました。以前読んだときは戦争がエンターテイメント的に利用された軽い小説だと考えたのですが、いやいや思いのほか著者の政治思想が読みとれる二作品ではありませんか。
 戦争がエンターテイメント的に利用されているというよりは、著者の思想の正当性を裏付けるために、南京事件やノモンハン事件が利用されていると感じられました。村上春樹の小説は心地よい、ムーディーな一面を持っていますが、その本質は存外に硬質で、イデオロギー色の濃い社会主義思想なのではないでしょうか。
 作家としての村上春樹の問題点は、一九三八年に発表された石川達三の『生きている兵隊』などと比較してみた場合によりはっきりしてきます。
『生きている兵隊』は南京事件に関与したとされる第十六師団三十三連隊に取材して書かれたものですが、フィクションとはいえ、全てが歴史的事実であったのかと思わされるくらい、よく調べて書かれています。戦争の諸相が暗いトーンで描かれており、残酷な場面も数々出てくるのですが、全体から石川のバランス感覚が読みとれ、各場面の隅々まで、著者の神経の行き渡っているのが感じられます。
 しかし、村上春樹の『海辺のカフカ』『ねじまき鳥クロニカル』では全体にどこか抽象的で、主人公と著者との間に距離感がなく、他の登場人物は狂言廻し的です。悪や暴力を描くためにノモンハン事件や南京事件が利用されたという印象を拭えません。それも無造作にです。春樹には、色々な本からお気に入りの断片を拾ってきてアクセサリーのように利用する癖があることを、わたしは本文中で指摘しました。そのように気ままに拾われて挿入された断片は、本来の性質をとどめていず、著者自身の断片でしかないのですが、ノモンハン事件であろうと、南京事件であろうと、同じやり方で利用されたのです。
 村上春樹は作中の主人公となって、架空の敵と戦っています。その架空の敵とは、旧日本軍であり、天皇制であり、大東亜共栄圏という思想であり、戦争そのものであり、端的に暴力であり、究極の悪なのです。これらは皆一緒くたとされてしまっています。
 これでは子供のチャンバラごっこと何ら変わりないのですが、当の著者、ファンたち、評論家でさえ、そのことに気づいていないらしいことに戦慄を覚えざるをえません。日本人作家自らが得々として自虐史観を散りばめた小説……中国、韓国、ロシア、またアメリカにも、村上春樹を歓迎する理由がありましょう。
 こうして見ていくと、村上春樹の小説には、戦後日本人の精神的な歩みがまるごと刻まれているといっても過言ではありません。当然ながらその歩みは、世界的な思想の潮流と無関係ではありません。
「はじめに」で書いた河合隼雄との関係をファンタジーへの影響という観点から探っていくと、河合隼雄独特の恣意的なユング解釈が第一の問題点として目につきますが、河合を名誉会長とした「絵本・児童文学研究センター」理事長兼所長をつとめる工藤左千夫の重要視するシュタイナーの影響なども――ニューエイジ・ムーヴメントの分析と併せ――第二の問題点として調査する必要が出てきます。まあ、このあたりになりますと、わたしの専門領域となります。

 不安定な健康状態と何とか折り合いをつけながら続編を書きあげたいと思っていますが、相当に時間がかかりそうなので、以上続編でアプローチしたい事柄をざっと挙げてみました。

  二〇一三年九月二十九日
                                                                        直塚万季

 第一版のあとがきを書いてからわずか半年間で、村上春樹に対するわたしの認識がまた変化――深まったというべきでしょうか――したので、まだ続編を出すには時間がかかりそうですが、そのことに「第二版のあとがき」で触れておきたかったということがありました。

 ちなみに「はじめに」は以下。

 本書のもととなった作品は、村上春樹がノーベル文学賞候補として囁かれ、村上春樹現象、村上春樹産業とも呼べるようなブームがとめどもなく膨れ上がることを日本中が期待しているかのようだった二〇〇九年に執筆したものでした。文芸同人雑誌『日田文学 57号』(編集人・江川義人、発行人・河津武俊、二〇〇九年五月)に掲載していただいたもので、本書ではそれに加筆・訂正を行っています。

 作品の冒頭で、わたしはブログ「マダムNの覚書」に公開中の小論「村上春樹『ノルウェイの森』の薄気味の悪さ」の二〇〇六年から二〇〇九年まで続いているヒットに驚いているのですが、この「はじめに」を書いている時点――二〇一二年四月――でも依然として、「村上春樹『ノルウェイの森』の薄気味の悪さ」は異常なアクセス数を誇っています。ただこれには、名もない、あまり宣伝もしていない個人のブログにしては……という但し書きをつけなくてはなりませんが。

 ところで、わたしは比較的最近になって、児童文学に関する研究を行うようになりました。その中で、心理学者、元文化庁長官であった河合隼雄の村上春樹に対する影響を考えないわけにはいかなくなりました。河合の影響は、村上春樹、小川洋子、吉本ばなな、梨木香歩といった作家たちに強く及んでいるばかりか、精神医療、教育、児童文学――ファンタジー――への影響の大きさ、また雇用の創出力という点においても、河合には一専門家とか一文化人という言葉では括ることのできない桁外れなところがあると感じさせられました。河合のことを調べていて特に注意を惹かれたのは、教育界への影響として「心のノート」問題、精神医学界への影響として「臨床心理士」資格問題でした。調べれば調べるほど、河合隼雄には疑問点が出てくるのですが、それにもかかわらず――いや、それだからこそ、というべきでしょうか――河合が日本人の精神をある時期、意のままにした怪物的存在であったことは間違いありません。
 河合隼雄についても、いつか書かなければならないと考えています。

 この作品は当ブログで一部を公開してしまっているので、KDPセレクトに登録できず、無料キャンペーンができません。400円は電子書籍の価格から考えると高いようにも思え、安くすることも考えましたが、評論としては短い作品ではありませんし、心血注いだ作品ですので、これくらいの価値はあるかなと思いました。既にお買い上げいただいた方々とのバランスということもありますから。


 アマゾンのKindleストアで販売中の児童小説『すみれ色の帽子』の無料キャンペーン、題して読書の秋・第1楽章」キャンペーンを実施中です。
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無料キャンペーン期間は、昨日から6日午後5時までの4日間となります。無料期間中はダウンロード画面で「kindle購入価格  ¥0 と表示されます。

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