ノーベル文学賞が近づくと、今年もまた春樹コールが高まった日本だったが(下馬評1位だからといって、そんなに騒ぐのが恥ずかしい。そもそも文学の真価は世俗の価値観を超えたところにあるというのに)、中国、韓国とは政治的に極めて微妙な関係にあるときなので、春樹なんかがとって、またまた絶句させられるスピーチをやらかさないかという心配があった。

 違ってホッとした。春樹の政治意識に根本的な欠陥があることは――現在、電子書籍化のため非公開にしてしまっているが――拙評論『村上春樹と近年のノーベル文学賞作家たち』で指摘した。

 莫言氏の作品は未読で、88年にベルリン国際映画祭で金熊賞を受賞した映画「紅いコーリャン」というタイトルを聴いた記憶があるだけだった。

 ネットニュースに見る莫言氏は、文革にもめげなかった作家であるようだ。文革によって知性、品性の多いに削がれた中国であるので、莫言氏の今後の活躍を期待したいところだ。それにしてもペンネームが「言う莫(な)かれ」とは……莫言氏の執筆環境の厳しさを物語っているかのようなペンネームではないか。

 ライン以下の「続き」に、ネットニュースからクリップ。


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